台湾ドキュメンタリー映画界の巨匠 楊力州(ヤン・リージョウ)監督作
父から受け継いだ赤い小箱の中には戯劇の神様がいる
解説
“芸を伝えることに限りはない。それができない限り、私が休むことはない”。10年にわたる取材を通して、台湾の伝統芸・布袋戯の第一人者に迫ったドキュメンタリー!!
台湾の人間国宝で布袋戯の人形遣い・陳錫煌(チェン・シーホァン)は、80歳を超えた今も世界各国で公演し、多くの人々を魅了している。墨をする指先、キセルを燻らす恍惚とした表情、ダイナミックで軽やかな立ち回り――繊細で力強い生命力にあふれた人形たちの動きが陳錫煌の指先から生み出されていく。1970年代以降、現代風にアレンジされた布袋戯がテレビで人気を博す一方で、伝統的な布袋戯の観客は減少していった。台湾の伝統芸能を絶やすまいと奔走する陳錫煌のもとには、フランス人のルーシーをはじめ多くの弟子が集まっているが、薄れゆく伝承への焦りは、日々募るばかりだ。
侯孝賢(ホウ・シャオシェン)作品の常連俳優で、人間国宝であった偉大なる父・李天禄(リー・ティエンルー)の背中を追いかけ続けてきた陳錫煌。長男である彼が母の姓を継いだことで、父との間に生まれたわだかまりは、何年経っても消えることはなかった。親子、そして師弟としての葛藤、家を継ぐこと、芸を継ぐこと……人生の最晩年に至った陳錫煌が、渾身の力を振り絞って、ただひとつのことを守り伝えようとする姿に、あなたの心は揺さぶられるに違いない。
監督は、若くして台湾アカデミー賞と言われる金馬奨最優秀監督賞を受賞し、その後も金馬奨50周年記念作品『あの時、この時』など、多くのドキュメンタリー映画を世に送り出している楊力州(ヤン・リージョウ)。陳錫煌の人生から、激動の台湾現代史そのものを描き出し、大阪アジアン映画祭2019特集企画《台湾:電影ルネッサンス2019》で上映されるや、大きな話題を呼んだ。
布袋戯(ほていぎ)とは
「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊記」の大ヒットで日本でもひと際注目を集めている台湾民間芸能のひとつ。布袋でできた人形衣装の中に手を入れて操ることから“布袋戯”と呼ばれる。李天禄(リー・ティエンルー)と陳錫煌(チェン・シーホァン)は、親子二代続けての人間国宝である。
監督からのメッセージ
この映画は台湾伝統布袋戯の技、その伝承、そして父子関係に関するドキュメンタリーです。10年に及ぶ撮影期間中、布袋戯の文化は言語の弾圧・エンタテインメントの多様化など不可逆な状況を目撃してきました。台湾伝統布袋戯が消えつつある現状にも、ぜひ目を向けてください。
セールスポイント
台湾ドキュメンタリー映画の巨匠×台湾伝統芸能・布袋劇の巨匠! 失われゆく伝統と技術、終わることなく続く父と子の物語、そして台湾現代史をも映し出した傑作ドキュメンタリー!!
第11回 中国語ドキュメンタリー映画祭(香港2018)長編部門 グランプリ受賞作品!!
◆李天禄の戯れと夢に生きたドラマチックな人生とは異なり、息子の陳錫煌は布袋戯の伝統の過酷さを生きる。指が肉体となり衣をまとって躍動する小さな世界の過激と美しさがフィルムに刻まれたのだ。
――金井美恵子(作家)
◆ここにあるのは布袋劇という芸能の原風景です。東離劍遊記のファンになって下さった方であれば、その背景となった伝統の厚みを、このドキュメンタリーから感じ取っていただけると思います。
――虚淵玄(ニトロプラス/Thunderbolt Fantasy Project原案・脚本・総監修)
作品情報
- 原題
- 紅盒子(英題:Father)
- 製作年・国
- 2018年・台湾
- ジャンル
- ドキュメンタリー
- 権利元
- (C)Backstage Studio Co., Ltd.
- キャスト
- 陳錫煌(チェン・シーホァン)/李天禄(リー・ティエンルー)/呉栄昌(ウー・ロンチャン)/黄武山(ホァン・ウーサン)/ルーシー・ケルシェ/薛湧(スワッヨン)
- スタッフ
- 監修:候孝賢(ホウ・シャオシェン)
監督:楊力州(ヤン・リージョウ)『あの頃、この時』『明日へのタッグ』
製作:朱詩倩(ミシェル・チュー)、黄丹琪(ホァン・ダンチー)、田欣樺(テェン・シンホァ)
演出:朱詩鈺(チュー・シーユー)
撮影:李如松(リー・ルーソン)、朱詩鈺(チュー・シーユー)『あの頃、この時』、林皓申(リン・ハオシェン)『明日へのタッグ』、楊力州(ヤン・リージョウ)、荘智凱(チュアン・チーカイ)、呉耀東(ウー・ヤオドン)『あの頃、この時』、張瑋誠(グレイ・チャン)、蔡維隆(ツァイ・ウェイロン)『日曜日の散歩者 わすれられた台湾詩人たち』
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