金庸・古龍・梁羽生の三大家より一世代若い武侠小説家・蕭逸の「馬鳴風蕭蕭」は、“武侠版ロミオとジュリエット”と呼ばれ、氏の最高傑作とされている。この物語をもとにした本作に主演するのは、『大唐游侠伝』のシェン・シャオハイ。撮影終盤に1ヶ月の入院を要する大怪我を負ったが、激しいアクションや乗馬シーンも自ら演じ切った。ヒロインに抜擢されたのは、当時デビュー2年目だった若手女優のワン・チーで、この主人公カップルのキャスティングには原作者の蕭逸も大満足だったという。彼女を筆頭に、主人公の師・郭白雲(かく・はくうん)の娘役として登場するホァン・マンや、『宮廷の諍い女』のスン・チエン、『項羽と劉邦 King’s War』で虞姫を演じるリー・イーシャオなど美人女優たちが華やかに競演。また、『侠客行』と『連城訣』でそれぞれ主人公を演じたウー・ジェンとウー・ユエに加え、武侠ドラマファンなら誰もが知るユー・チェンフイとジー・チュンホァといった名バイプレイヤーも顔を揃えた。
本作の最大の魅力は、馬術を駆使した新機軸のアクションだろう。アクション演出に定評のある『浣花洗剣録』のチェン・ヨンゴーが監督を務めており、第1話から、まるで“馬上の格闘技”ポロの試合を思わせるような追跡シーンが展開する。総監督は『連城訣』『侠客行』のワン・シンミン。彼の故郷である内モンゴルの風景や音楽がふんだんに盛り込まれているのも、本作を特徴づけるひとつの要素となっている。
かつて江湖にその名を轟かせた大侠・成紅梅(せい・こうばい)の死。それを悼むかのように墓前に佇んでいた彼の愛馬・黒水仙(こくすいせん)もいつしか姿を消し、人々の間には“100年に1頭の名馬”という伝説めいた噂だけが残った。それから20年―黄花草原に住む寇英傑(こう・えいけつ)は、ある日、漆黒の駿馬と出会う。それが黒水仙の子孫だと直感した彼は、なんとか手なずけようと試みるが、その馬は利口な上に気性も荒いとあって悪戦苦闘。しがみついては振り落とされてを何度も繰り返し、あの手この手でようやく黒水仙を観念させたかに思えたその時、突然現れた五小龍(ごしょうりゅう)と名乗る男たちが馬と寇英傑を捕らえ、連れ去ってしまうのだった。縛り上げられ、水も与えられない状況で、辛抱強く好機が訪れるのを待つ寇英傑。やがて彼は、黒水仙と一緒に堡寨から脱走するのだが…。
シェン・シャオハイ(沈暁海) | 『大唐游侠伝』 |
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ワン・チー(王琦) | |
ホァン・マン(黄曼) | |
ジー・チュンホァ(計春華) | 『浣花洗剣録』 |
ユー・チェンフイ(于承恵) | 『侠影仙踪』 |
ウー・ユエ(呉越) | 『連城訣』 |
ウー・ジェン(呉健) | 『侠客行』 |
バー・トゥー(巴図) | 『侠客行』 |
ジャン・グアンベイ(張光北) | 『三国志 国際スタンダード版』 |
リー・イーシャオ(李依暁) | 『項羽と劉邦 King's War』 |
チェン・ポン(程鵬) | |
ジャン・シュー(張澍) | 『始皇帝暗殺 荊軻』 |
ドゥ・ジュンザー(杜俊沢) | 『王の後宮』 |
リー・ジェンチー(李振起) | 『雪山飛狐』 |
スン・チエン(孫茜) | 『宮廷の諍い女』 |
総監督・脚本監修: | ワン・シンミン(王新民) | 『侠客行』『連城訣』 |
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監督: | チェン・ヨンゴー(陳詠歌) | 『浣花洗剣録』 |
脚本: | リー・シーミン(李世明) | 『連城訣』 |
ディー・モン(邸萌) | 『連城訣』 | |
撮影: | チャン・チェンドン(張振東) | 『鏢行天下 前伝』『射鵰英雄伝』 |
シュー・ウェイドン(徐尉東) | ||
リー・ヨン(李勇) | ||
美術監督: | ハン・シャオハン(韓暁寒) | 『侠客行』『連城訣』 |
武術指導: | チェン・ジェン(程鎮) | |
チアン・ロン(強龍) | ||
ジャン・ヨンシェン(張永生) | ||
音楽: | サイフー(賽夫) | 『浣花洗剣録』『連城訣』 |